10月9日のカメルーン代表との一戦を楽しみにしていたサポーターも多かった。
結果は0-0のドロー。
サポーターの内心をのぞいてみるとこんな声が聴こえてきた・・・
「久しぶりの代表戦を観れたのはうれしいんだけど、チャンスらしいチャンスもないし、見せ場もない・・・つまらない試合だったなぁ」
かくいうボクもそんな感想をもったサポーターの1人だ。
テレビの前で手に汗にぎり正座までして応援していたのだが、試合内容には正直がっかりだった。
およそ10か月ぶりの国際親善試合とはいえ、「アッと驚くようなシーン」もないロングボールを蹴りあう試合内容が続いた。
試合前の期待の大きさと比例するように、落胆もとても大きかったのが事実だ。
「初のオール欧州組!」という響きだけが独り歩きして内容が伴わない、
実に残念な試合といえよう。
とはいえ13日にはコートジボワール戦が待っているし、落胆していていても何かが変わるわけでもない。
だから昨日の試合を見返して分析することにした。なぜなら、そうすることで見えてくるモノがあるのではないかと思ったからだ。
その結果、いまの日本代表がやりたいサッカーが見えてきた。
と同時にカメルーンに勝てなかった「7つの理由」も見えてきた。
そしてコートジボワール戦に向けて「3つの打開策」を考えてみた。
それでは日本代表を応援するサポーター(あなた)とともに探っていこう。
カメルーン戦のスタメンとフォーメーションを確認しよう
予想どおり森保監督は戦い慣れたフォーメーション4-2-3-1システムの布陣で組んできた。
ニューフェイスとしては20安西幸輝と4中山雄太がスタメン起用されていた。
逆にいうとそれ以外のスタメンメンバーはいつものメンバーと言える。
日本代表の理想の戦い方【具体的にやりたかったこと】
✔日本代表の基本的な戦い方とは・・・
①前線から相手にプレスをかける
②ボールを奪い大迫にいったんボールをあずける
③大迫がはたいたボールを味方が受けると同時にラインを押し上げる
④サイドにひらいた原口、堂安がセンタリングをあげる
⑤センタリングに合わせた大迫、南野がシュートに持ち込む
(もしくは、センタリングをあげずにミドルレンジからシュートの選択肢もあり)
日本代表はどうしてカメルーン戦に勝てなかったのか?
結論から言うと、日本代表は自分たちのやりたいサッカーをさせてもらえなかった。
だから勝てなかった。
「その理由はいったいなぜだったのだろうか?」
深掘りしていこう。
理由その1 連携不足はいなめない
試合は序盤から日本が前線からプレッシングをかけボールを奪い取ってカウンター攻撃を仕掛ける狙いが見えた。
しかしカメルーンは日本のプレスをかいくぐって、巧みなパス回しで優位に試合をすすめていった。
日本代表はパスミスが目立ち自らチャンスを無駄にしてしまった。
久しぶりの国際親善試合ということもあってアイコンタクトや連携面に課題は山積だと言える。
昨日の試合では、プレスは利いていたがカメルーン代表のボールキープスキルと体の使い方がうまくボールを奪えなかった。
そしてボールを奪っても大迫にパスがつながらなかった。また、ボールを奪った後の選択肢が「大迫へつなぐこと」のみに偏ってしまっていたのが気になった。
日本代表がボール保持をしているとき孤立している場面が多く、せっかくのチャンスを活かせていない。
味方がもっと声を掛け合うことが必要だった。
なぜなら背後にいる味方にパスを出すことができたり、
「今はフリーだから焦らないでオッケー」みたいな声があれば慌てて前線にパスを出すのではなく、いったんキープして攻撃を作り直すことができるからだ。
連携面の課題が浮き彫りになった試合だった。
理由その2 カメルーン代表の良さが目立った
カメルーン代表はアフリカ特有のバネをもっている。
しなやかに相手を交わし日本にボールを触らせない。
日本と同じくフランスリーグ・リヨンのトコエカンビやサンテティエンヌのムクリなどレベルの高い選手が多くとにかくうまかった。
選手同士の距離感がよく「スペインのバルセロナのパス回し」とは言わないまでも、日本がやりたいパス回しをカメルーン代表がやっていた印象だった。
FIFAランキング下位の国だった頃の日本代表であれば、相手に合わせて戦術や戦い方をその都度変えなければ勝利できない。
しかし今の日本代表はFIFAランキング28位。格段にプレーの質はあがっているはずである。
相手がどうあれ自分たちがやりたいサッカーを貫けることが大事なフェーズに入ってきているのも事実。
だから相手に合わせるのでなく、相手に応じて自分たちのやりたいサッカーを調整していくことが必要なのではないか。
理由その3 ボールがおさまらなかった
昨日の試合では、プレスは利いていたがカメルーン代表のボールキープと体の使い方がうまくボールを奪えなかった。
そしてボールを奪っても大迫にパスがつながらなかった。また、ボールを奪った後の選択肢が「大迫へつなぐこと」のみに偏ってしまっていたのが気になった。
日本代表のやりたいサッカーの基本である大迫を経由することが難しかった。
そしてパスの出しどころがなくて敵陣にロングボールを蹴りこむだけの場面が多くみられたのが分かるだろう。
✔大迫へつなぐ以外の選択肢がないとどうなるのか?
大迫選手にボールが収まらないと・・・
⇒パスの出しどころがない
⇒ロングボールを蹴る
このループに入ってしまった。
理由その4 攻撃時に仕掛けなかった
これではなかなか得点にはならないし、相手にも読まれてしまう。
無理なリスクを取る必要はないが、攻撃にアクセントをつけるために、やはり仕掛けることが必要だった。つまり安全策をとりすぎて、リスクをとらなかったということだ。
昨日の試合でみられた仕掛けは2回のみ。
久保建英の左サイドのドリブル突破からのセンタリングと試合終了間際に伊東純也の右サイドからのドリブル突破からファールをもらった場面だけだった。
さすがに回数が少なすぎる。攻撃の2列目の選手(鎌田大地や堂安律、原口元気)がもっとドリブルでの仕掛けやミドルシュートを放っていってもよかった。
理由その5 パスミスが多く、クロスの精度が低かった
せっかく相手の左右サイド前線までボールを運んだのに最後のクロスが合わない。
グランドの芝がスリッピーだったせいか、パスが大きすぎる。
プレスで奪った大切なボールなのに自らのミスでカメルーンにボールを奪い返されるシーンが多かった。
じつにもったいないシーンの連続だった。
連携面が取れていないことも関係しているが、味方がもらいやすい場所にパスするという基本的なことができていなかった。
イメージ的には全体的に「攻め急ぎ」な感じがでてしまっていた。
最後のクロスの精度さえ良かったら・・・ゴールの確率もグンと上がっていただろう。
理由その6 ワンタッチパスが少なかった(ダイレクトプレー)
昨日の試合では、あきらかに選手が止まってボールを受けていた。
動いた状態でパスを受けていれば、すぐに相手に囲まれることはない。
止まってボールを受けるから、すぐに囲まれてボールを奪われていた。
もったいないシーンが続いた。
後半は3バックになったことで中盤が5選手が並ぶ陣形になった。
一直線に5人が並べば必ず近くに味方選手がいることになる。
しかし昨日はパスがつながらなかった。ボールを大事にキープしようとし過ぎて、パスのテンポが遅い。ダイレクトパスをしないから相手にすぐに詰められる。
カメルーン代表もかなりプレスが速かったし、足が長いので通常では届かないパスでも届いてしまう。
こういう試合展開では、ワンツーやダイレクトパスを多用していかなければチャンスは生まれてこないのである。
理由その7 個の力と組織の力のバランスがうまく機能していなかった
日本代表のベストな戦い方は組織と個の融合だと思う。
テレビの解説でも言っていたようにドイツのバイエルンミュンヘンのようなサッカーができたら一番良いと思っている。
しかし組織と個のバランスを取るのはむずかしいことだ。
あくまで監督はピッチの外にしか立てない。
「組織で崩していくのか?」あるいは「個のスキルで打開していくのか?」はピッチ上の選手の判断になる。
しかもその判断に擁する時間は一瞬だ。
コートジボワール戦に向けた3つの打開策
個人のスキルアップとプレーの質に関しては、一朝一夕に変化するものでなない。
次戦に向けて対応ができる範囲で打開策を考えた。
特段スペシャルな方法ではないが、チームが見違えるようになる魔法である。
ボクは感じている。
「当たり前のようなことが当たり前にできること」が一番の作戦であり打開策だと。
打開策その1 選手同士の距離をトライアングルに保つこと
選手同士の立ち位置をトライアングルにすることだ。
トライアングルにすることで選手の距離は近くなりパスが出しやすくなる。つまりサポートできる体制になる。
カメルーン戦ではトライアングルができていなかった。そのためサポートができず無理なパスを出すしかなかった。パスミスが増えチャンスを無駄にしてしまった。
パスコースが無くてロングボールを蹴ることも増えた。
✔トライアングルをキープするための2つの条件!
1,相当な運動量
2,良い連携
✔1つ目の条件・・・相当な運動量!
選手が流動的に動く中で、常に三角形を維持するには休んでいる時間など無いということだ。1試合は90分。つまり選手は90分間走れるだけの運動量が必要だ。
日本代表で言うと岡崎慎司、原口元気、南野拓実、長友佑都の運動量は90分を通して変わらない。プレッシングサッカーを90分通してやるための運動量はまさに地道な練習と走り込みでしか身につかない。
ハードワークという言葉がまさにピッタリ選手たちだ。
✔2つ目の条件・・・良い連携!
良い連携という抽象的な言葉を具体的にしていこう。
連携と言っても選手同士で声を掛け合うことだ。選手同士がトライアングルをキープしていれば距離が近く声が届くのだ。
「声を掛け合うことがどうして必要なのか?」
それはボールを持っている選手は自分の置かれている状況を客観的に見れないからだ。
だから「相手DFが迫って来てる」とか、「背後に味方パスコースがある」とすぐに分からない。だから選手同士で声が届く距離を保つこと。
これが良い連携と言える。
✔こう考えると分かりやすい・・・
実況席からはピッチ全体が見えるが、ピッチ上に立つ選手には全体が見えないということだ。
打開策その2 100%の保証はない!とにかく仕掛けること
カメルーン戦では圧倒的に攻撃の仕掛けが少なかった。ボクが見る限り伊東純也、久保建英の2名しか仕掛けていない。
後半途中出場の久保は左サイドからドリブルで仕掛け相手DFのタイミングをうまくずらし中央へセンタリングをあげた。
伊東純也は後半終了間際、持ち前のスピードで相手を振り切ろうとした時ファールをもらいフリーキックのチャンスを作った。
2つの仕掛けはどちらもチャンスにつながっている。
ゴールには結びつかなかったが相手の脅威になることでそれ以後は警戒するようになるのだ。
もう30年ほど日本代表を見てきたが、自分から仕掛ける回数が欧州や南米のチームと比べ極めて少ない。
安全な場所でパスを回し、スルーパスで相手の裏を狙う。ドーハの悲劇世代のラモス時代のサッカーと何ら変わっていない。
日本代表がFIFAランキングを上げれば相手チームはバックスを固めてくる。
守備陣形が整ったチームに勝つためには、攻撃の仕掛けが必要不可欠なのだ。
カメルーンは守備が固かったので案の定攻め手が無くなった。打開しようとしたのは久保と伊東純也だけだった。中島翔哉がいれば間違いなくドリブルで仕掛けたことだろう。
本田圭佑が言う「個の力」が日本代表にとっては永遠のテーマなのだ。
打開策その3 ミドルシュートという選択肢をもつこと
カメルーン戦では相手の守備が固く、ゴール前で決定機を作れなかった。
ゴールエリア手前まではボールを運べるが、相手を完全に崩してクロスやシュートにもっていくのは難しい。
日本の攻撃は確実性を重視する。
つねに100%の形でゴールを決めようとするクセがある。これも30年前と変わっていない事実だ。
テレビの前で観ているサポーターはいつももどかしい思いをする。
日本代表はもっとミドルシュートを意識するべきだ。
W杯ロシア大会ベルギー戦での2ゴールはミドルシュートだ。
原口元気と乾貴士の2ゴールを忘れてはいないだろう。
試合が膠着(こうちゃく)状態のときは遠目からのシュートが有効なのだ。
あえてDFの網の中に入っていかなくてよいのだ。
日本代表のディフェンダー陣の活躍が目立った
日本は安定したディフェンダー陣の吉田・酒井・富安がいたから無失点で試合を終えられたといっても過言でないだろう。
酒井は体格のいいカメルーン代表を相手にしても空中戦でほぼ負けていなかったし、サイドから自らドリブルで駆け上がった場面のみられた。酒井の実力がいかんなく発揮された試合だった。
吉田は熟練の守備感覚で何度かピンチを救っている。富安も安定感があり淡々とプレーしていた印象だった。
本来長友が入る左サイドバックに抜擢された安西に関してはうまく機能していた。あとは他のバックス3名との連携が取れていけばスタメンに固定されることも十分に考えられる。
後半は3バックになったが吉田・富安・酒井でうまく機能していたし、100%危険な場面も作らせていなかった。
まとめ
文章が長くなってしまったので要点だけをまとめてみる。
✅カメルーン戦で勝てなかった7つの理由は以下の通り・・・
その2 カメルーン代表の良さが目立った
その3 ボールがおさまらなかった
その4 攻撃時に仕掛けなかった
その5 パスミスが多く、クロスの精度が低かった
その6 ワンタッチパスが少なかった(ダイレクトプレー)
その7 個の力と組織の力のバランスがうまく機能していなかった
その1 選手同士の距離をトライアングルに保つこと
その2 100%の保証はない。とにかく仕掛けること
その3 ミドルシュートという選択肢をもつこと
✅カメルーン戦での収穫・・・
13日のコートジボワール戦には大迫がブレーメンに帰るのでスタメンも変わってくるだろう。森保監督が「今回のオランダ遠征で何を試したいのか?」
しっかりとみていきたい。
久しぶりの国際親善試合である。
2試合目のコートジボワール戦に期待したい。
サポーターがゴールを待っている!
スタジアムには行けなくても、テレビの前で応援している。2020年、心から待ちわびた日本代表戦なのだ。
勝ってほしい、そして日本を元気にしてくれることを願っている。
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